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『七つの会議』に見る人間模様

人事・給与2019年03月01日
 池井戸潤原作の映画『七つの会議』を観た。ネタバレに繋がるので、詳細は省くが、「結果がすべて」という考え方が残る会社で、パワハラ騒動を引きがねとして、徐々に会社の重大な秘密が明かされていく…といったストーリである。原作とは少し登場人物の扱いが異なるが、物語の展開の中で、サラリーマンが直面する苦悩・葛藤が描かれている。映画の宣伝材料のキャッチコピーは、「すべての日本人に問う、『働くことの』正義とは?」である。
 企業不祥事が後を絶たないご時世に、タイムリーな話題提供になっているのではないかと思う。「結果がすべて」という考え方は、営利企業にとっては当然の考え方かもしれないが、その過程で何かを犠牲にすることがあるとすれば、その「何か」の正体を見極めなければならない。その結果がたどりつく姿として、原作の最後には、「虚飾の繁栄か、真実の清貧か」とある。
 映画ではあまり描かれていなかったが、池井戸作品の特徴として、登場人物を会社での仕事をする姿だけでなく、生い立ち、家族との関係などのエピソードが散りばめられているところがある。そこからは、学歴へのコンプレックス、エリートの父や兄との関係、町工場を経営する父親からかけられた言葉などをバネにして、とにかくそれぞれに頑張っている理由が明らかになる。そこから、上昇志向の強さ、ノルマが達成できない、出世できないことに対する負のサンクションが生まれる原因が見て取れる。(『シャイロックの子供たち』などでも)
 人事管理の現場では、その社員がどういったことを行ったのかという事実(事例性)に注目する。たとえば、うつ病で休職をさせるかどうかの判断において、その人が病気であるか否かは一旦脇に置いて、出勤が不規則で、完全な労務提供ができていないということについて会社としてどのような人事管理上の措置を取るか、といったようなことである。
 しかし、社員は感情を持った人間である。その人の思考や行動には成育環境や現在の家族との関係が大きく影響していることが考えられる。「コト」を起こすのは、結局は「ヒト」なのである。
 現実の社会では、個人情報、プライバシーの保護という観点から、ますます「私生活」は見えにくくなっている。これからの人事管理において、上司が部下のことを理解するために、どこまで個人の領域に踏み込めるか、また、それを踏まえたマネジメントができるか、あるいはそういうことは気にせず、事例性だけを見ていればいいのか。意見の分かれるところかもしれないが、上司と部下との信頼関係がないところに生産性の向上は望めないことは確かである。
           (LLPヒューマンアセットマネジメントより)