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コラムCOLUMN

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人材は誰が育成するのか

人材育成2018年12月01日
 大河ドラマ「西郷どん」を観ていて、ここで描かれている西郷隆盛は、「人材開発」の人なのだと思った。明治になって、欧州視察から帰った盟友の大久保利通が、まずは国力をつけなければならないとして、組織づくりを急ぐ一方、西郷は「民に寄り添う政治」を標榜する。お互い主張を譲らず、朝鮮使節派遣論も絡んで西郷は政府を離れる。教科書的には「明治六年の政変」といわれる出来事である。
人事部門でいうと大久保が、採用・配置・査定その他の人事企画を行なう「人事企画課」で、西郷が、教育訓練・キャリア開発を行なう「人材開発課」のイメージといえばうがちすぎだろうか。(実際のところ、西郷隆盛の実像については、近代史家の間でもまだよくわかっていないことが多いという。筒井清忠編『明治史講義【人物編】』ちくま新書)
組織として、人材マネジメントにおいて、この2つは両方しなければならない重要なミッションではあるが、ともすれば、「人材開発」は「人事企画」の影響を受けやすい傾向にある。
特に最近は人材の価値を市場価値で評価する「仕事基準」の人事制度の構築の必要性が強調されている。従来の日本型雇用の特徴が、「人を育てて使う」ことにあったことからすると、大きな転換である。人生100年時代といわれる中での中高年の「学びなおし」も含めて、能力開発は自己責任で行なうことが求められるようになるというのである。「成果主義」が盛んに言われたころ、「エンプロイアビリティ」(雇われる力)という言葉も聞かれるようになった。
 また、長時間労働の規制が厳しくなることから、新人にプラスアルファの経験を時間外に積ませることが難しくなってくる。従来のOJTを中心とする人材育成の方法は見直しを迫られている。
 一方で、充実した教育研修が人材の定着率を高める効果も指摘されている。その組織の経営理念や業務の内容を十分理解することによって、仕事とのミスマッチを防ぎ、離職率が低下する。人手不足が続くなか、人材確保のためにも「人材開発」を捨てることもできない。
 これからの人材育成をどのように考えるか、人材の発展段階にあわせて異なる取り組みとなることが想定されるが、それぞれの組織で明確な方針を打ち出す必要がある。                        (LLPヒューマンアセットマネジメントより)